俊輔は背負ったリュックから地図を取り出そうとした。
一緒に入れてあった写真が落ちた。
ゼミの合同コンパに参加したときに撮影した写真だ。
俊輔がそれを持ち込んだ理由はただ一つ。
くじけそうになった時に見る太陽が欲しかったからだ。

その太陽は、里美の笑顔であった。

ウムチョムゥイーザ学園は俊輔を長年の友のように受け入れてくれた。
父の面影が強く残っていたからであろう。
俊輔は、何故、父がこの学園に心血を注いだか、その理由を
目の当たりにした。

この学園は、孤児やストリートチルドレンも受け入れている。
両親のいない孤児の学費は、無料。
年齢に関係なく学ぶ意欲のある子供達を受け入れている為、
今まで内戦などで学校に行くチャンスのなかった14歳、15歳の子供達も
小学3年生のクラスの中に混ざり、教育を受けることができる。
何より、子供達の救いとなったのは学費が安いことだ。
政府の学校よりも安い授業料の上、
片親や両親がそろっていても貧しい子供は半額であった。

こうして俊輔は、父が生涯をかけた夢を引き継いだ。
子供達に未来を取り戻す、その為に毎日を費やすのだ。


その頃、俊輔が密かに憧れている太陽が、日本の空港を
飛び立とうとしていた。
三へ