やはり、墓地にカミラはいた。
古く小さな墓の前で手を合わせていた。

「おや。ケルベロス。何か用か。」
ブラッキーが近寄ってきた。
カミラも不思議そうに見つめている。

「これを見てくれ。」
福はメスを置いた。

その途端、ブラッキーから
凄まじい殺気が湧いた。

「ケルベロス。お前、これを
どこで手に入れた。」

「仲間の猫が殺された。
心当たりがあるのか。
貴方達が日本に来た事と関連があるのか?」

カミラがブラッキーの頭を撫でる。

「落ち着きなさい。ブラッキー。
母さまの前ですよ。」

思わず、福は墓を見た。
刻まれている文字すら読み取れない
ほどの古い墓だ。
長い間、手入れされていなかったのが
よく判る。
マリア様の姿が彫られていた。

「これは…カミラさんのお母さんの墓ですか?」

「そう。これは私の母さまが眠る墓。
私に人の部分を授けた人。」

「そして」と、カミラがメスを手に取る。

「これは私の化け物の部分を与えた男が
使う物。私達を追いかけて海を渡った
のでしょう。」

カミラの声が温度を下げていく。