金兵衛は質屋を営んでいる。
しち金と言う名前で通っていた。
金兵衛は、大抵の質草を受ける。
ただし二束三文でだ。
中でも彼は、ある種の品を好んで受けた。

いわゆる曰く付きの品と呼ばれるものだ。
それ専用の蔵には、恐ろしげな品が溢れている。

髪の毛が伸びる市松人形達が棚に並ぶ。
見るからに気持ち悪い幽霊画は、夜な夜な幽霊が抜け出るらしい。
その傍らの桶は、首桶だ。

座ると必ず死ぬ椅子というのもある。

何人もの血を吸った妖刀などは、束にできるほどだ。

持ち込んだ者は、もとより受け出しに来る気など無い。
全て買取である。

とにもかくにも、手元に置きたくないのだ。

金兵衛は、転売の可能性が全く無いその品を片端から集めていた。
怪奇趣味があるわけでも、見せ物小屋を作るつもりでも無い。
きちんとした理由はある。
彼は、ある品が持ち込まれるのを待っているのだ。

それは『鳥取の布団』と呼ばれていた。
御存知の方も多かろう、こんな話だ。

二へ