さて、あと二日で私が参加した『恐怖箱蛇苺』が発売されます。
ありがたい事に、amazonのランキングで800位以内に付けている。
予約してくださった皆様、誠にありがとうございます。
本来ならば、お一人ずつにスリスリと頬ずりしたいぐらいですが(笑
なかなかそうもいきませぬ。
ということで、お礼として実話怪談を一つ(笑
畑にカラスは珍しくもない。
が、その日、久岡さんが見た群れは少し変わっていた。
大抵の場合、カラスは少しずつ距離をおいて
羽を休めるなり、餌を探すなりするのだが、
その日見たカラスはびっしり固まって畑に居たという。
黄昏時、そのカラスたちは身動きもせず、一声も発しない。
ただ押し黙って一心腐乱に地面を突付いている。
何か妙なものを感じ、久岡さんはバイクを停めて畑に入った。
(確か…松田んとこの畑だ)
おかしいな、と頭を捻りながらカラスに近づいていった。
松田家の畑は何か事情があるのか、今年まだ一度も作物を育てていない。
ゴミでも放置されたのなら、家人に教えてあげねばならない。
近づいた久岡さんを恐れることも無く、カラスたちは飛び立とうともしない。
土くれを投げつけると、ようやくその場を離れ近くの電線に止まった。
何に集っていたんだと目を凝らし、久岡さんは首を捻った。
地面に黒々としたシミがあったという。
(何じゃいな、こりゃ?)
こんなものに何故、カラスたちが集まったのだろう。
調べようと更に近づいた途端。
その影が、急激に膨らんだ。
厚みを増した影は真っ黒な霧に変わり、地面すれすれに浮かぶ。
「くっ!」
悲鳴にもならない声をあげ、久岡さんは霧を見つめる。
霧は、ぬるりと動き出し、久岡さんに向かって来た。
畑の中を転びながら、懸命にバイクに戻る久岡さんの腕に、
針で刺されたような痛みが走った。
見ると、腕は霧に包まれている。
必死で振り払ってバイクに飛び乗り、振り返る間も惜しんで走りだした。
バックミラーで確認すると、霧は畑から外には出られないらしく、
のろのろと元の場所に戻っていく。
電線に止まっていたカラスたちが一斉に飛び立ち、
霧に向かって行くのが見えた。
結局、それが何だったかは判らないらしい。
久岡さんの腕には今でも傷が残っている。
手の痕としか見えないのだが、中指だけが異様に長いという。
ありがたい事に、amazonのランキングで800位以内に付けている。
予約してくださった皆様、誠にありがとうございます。
本来ならば、お一人ずつにスリスリと頬ずりしたいぐらいですが(笑
なかなかそうもいきませぬ。
ということで、お礼として実話怪談を一つ(笑
畑にカラスは珍しくもない。
が、その日、久岡さんが見た群れは少し変わっていた。
大抵の場合、カラスは少しずつ距離をおいて
羽を休めるなり、餌を探すなりするのだが、
その日見たカラスはびっしり固まって畑に居たという。
黄昏時、そのカラスたちは身動きもせず、一声も発しない。
ただ押し黙って一心腐乱に地面を突付いている。
何か妙なものを感じ、久岡さんはバイクを停めて畑に入った。
(確か…松田んとこの畑だ)
おかしいな、と頭を捻りながらカラスに近づいていった。
松田家の畑は何か事情があるのか、今年まだ一度も作物を育てていない。
ゴミでも放置されたのなら、家人に教えてあげねばならない。
近づいた久岡さんを恐れることも無く、カラスたちは飛び立とうともしない。
土くれを投げつけると、ようやくその場を離れ近くの電線に止まった。
何に集っていたんだと目を凝らし、久岡さんは首を捻った。
地面に黒々としたシミがあったという。
(何じゃいな、こりゃ?)
こんなものに何故、カラスたちが集まったのだろう。
調べようと更に近づいた途端。
その影が、急激に膨らんだ。
厚みを増した影は真っ黒な霧に変わり、地面すれすれに浮かぶ。
「くっ!」
悲鳴にもならない声をあげ、久岡さんは霧を見つめる。
霧は、ぬるりと動き出し、久岡さんに向かって来た。
畑の中を転びながら、懸命にバイクに戻る久岡さんの腕に、
針で刺されたような痛みが走った。
見ると、腕は霧に包まれている。
必死で振り払ってバイクに飛び乗り、振り返る間も惜しんで走りだした。
バックミラーで確認すると、霧は畑から外には出られないらしく、
のろのろと元の場所に戻っていく。
電線に止まっていたカラスたちが一斉に飛び立ち、
霧に向かって行くのが見えた。
結局、それが何だったかは判らないらしい。
久岡さんの腕には今でも傷が残っている。
手の痕としか見えないのだが、中指だけが異様に長いという。