(俺は逃げたかったのかな…疲れ過ぎているのかもな。
今夜一晩ぐらいなら、そんな勝手も許されるさ)
意外なほど、トンネルは近かった。
中を覗き込むと、やはり駅は有るようだ。
真ん中ほどに薄明かりが点いている。
橋本は、思い切って足を踏み入れた。
近づくと、やはりそれは駅だった。
それもかなり古びた駅だ。
映画か、観光案内でしか見かけなくなった古い駅。
ポスターや看板すら古びている。
金鳥の看板やアース蚊取り線香の看板を見て、
橋本は子供の頃を思い出した。
涙が後から後から湧いて出る。
何故泣けるのかが判らないまま、橋本は駅のベンチに座った。
気がつくと、駅員が立っていた。
「あ…すいません、拙いですかね、ここで夜を明かすのは」
慌てて涙を拭きながら橋本が言った。
駅員が優しい顔で答えた。
「かまわないですよ。あなたが選んだことです。
次の電車が来るまで、まだ少し時間がある」
優しい顔に良く合った優しい声だ。
完へ
今夜一晩ぐらいなら、そんな勝手も許されるさ)
意外なほど、トンネルは近かった。
中を覗き込むと、やはり駅は有るようだ。
真ん中ほどに薄明かりが点いている。
橋本は、思い切って足を踏み入れた。
近づくと、やはりそれは駅だった。
それもかなり古びた駅だ。
映画か、観光案内でしか見かけなくなった古い駅。
ポスターや看板すら古びている。
金鳥の看板やアース蚊取り線香の看板を見て、
橋本は子供の頃を思い出した。
涙が後から後から湧いて出る。
何故泣けるのかが判らないまま、橋本は駅のベンチに座った。
気がつくと、駅員が立っていた。
「あ…すいません、拙いですかね、ここで夜を明かすのは」
慌てて涙を拭きながら橋本が言った。
駅員が優しい顔で答えた。
「かまわないですよ。あなたが選んだことです。
次の電車が来るまで、まだ少し時間がある」
優しい顔に良く合った優しい声だ。
完へ