雄司は休憩中、ずっと手帳を読んでいた。
そこに書かれてある内容が、あまりにも異常すぎて
途中で投げ出せなくなっていた。
その手帳の持ち主は、行方不明の院長であった。

『何故だ。何故、成功しない。
臓器売買までして手に入れた資料だ、
間違っているはずが無い。
何が足りないのだ。私の読み込みが
足らないのか。』

『わかった。魔方陣と呪文だけでは足らないのだ。
四つの物が必要なのだ。
黒い羽。ベラドンナのエキス。闇の使いの爪。処女の血。
これさえあれば…』

『黒い羽はカラスだ。ベラドンナは、隣の遊園地内の植物園に
ある。処女の血など、病院では何とでもなる。
問題は闇の使いの爪だ。闇の使い?』

『判った。単純なことだ。闇の使い=猫だ。猫の爪だ。
幸い、病院の周りに野良猫達がいる。研いだ後の
爪の破片でも大丈夫だろう。』

『成功だ。向こう側に行けた。』

『くそ、ようやくこれから、と言う時に、
警察が薄々感づいたかもしれん。
臓器売買を止めなければ。
胎児まで売りさばいたのは失敗だった』

『もう逃げられん。おそらく、逮捕されたら
軽くても十年以上はくらう。
いやだ。せっかく、悪魔と契約できると
言うのに。逃げよう。あちら側に逃げたら、
追いかけてこられるはずがない。
私自身が魔物になれば、あちら側でも暮らして
いけるに違いない。』

『明日、悪魔と契約する』


手帳はそこで途切れていた。