真吾は夢を見ていた。
夢の中で鳥が喧しく鳴いている。
(うるさ…いな…)
しつこい鳴き声は、やがて現実の音に重なった。

「…警報っ?!」
真吾は飛び起きてコンソールルームへ向かった。
分厚い扉を開ける。
部屋の中は、耳が痛くなるほどの騒音に満たされていた。

「何だ?昨日までは順調だったはずだ!」
操縦席に座るのも忘れ、故障をチェックする。

「う」
思わず、息を飲み込んだ。
真吾が仮眠中に、ほんの一欠片の隕石が
船体を傷つけたのだ。
だが、それはこのスペースシップのライフラインとも言える
AIシステムに取り返しのつかぬ損傷を与えていた。
船はオートバランス機能を失い、まるで木の葉のように
フラフラと揺れ始めた。

真吾は自動操縦から手動に切り替える覚悟を決めた。
この船を失うわけにはいかないのだ。
遠い外宇宙での任務を終え、家族が待つ地球へ帰る旅の途中である。
家族とはもう、五年以上も逢えていない。

「星になって見守るなんてのはゴメンだ」
真吾は懐から家族の3D写真を取り出し、眩しいものを見るように目を細めた。