その間に、子猫はミチクサの温もりに
気付いたのだろう、近寄ってきた。
腹の下に潜り込んで動こうとしない。
よほど、寒かったのか、あるいは怖かったのか、
ブルブルと震え続けていた。

うぅん、困ったなぁ。こんなの連れてたら、
ミチクサどころか、家にも帰れないよ。

ミチクサの腹の下で、安心したのか、子猫は
ぐっすりと眠り始めた。
そろそろと体を離してみる。
大丈夫、起きない。

ごめんよ、おいら野良猫だから、君の面倒を
みることは出来ないんだ。
そう言い訳して、そっと離れる。

しばらく歩いてから振り向いた。
まだ、眠っている。

あいつ、どうするかな。いやいや、おいらには
関係ないや。ほっとこう。恨むなら、捨てた人間を
恨んでくれ。
さよなら。

振り切るようにして、前を見て歩き出す。

悲しいけれど、お別れだ。
だがその時。

ミチクサが一番嫌いな音がした。
カラスの羽ばたく音だ。