「進くん、進くんや。会いたかった。会ってお礼言いたかった」

「何がや。何のことや」

「僕な、今度絵本だすねん。今から出版社と打ち合わせや」

「ほんまかっ!めちゃすごいやんか」

あっちゃんは握りしめた手に涙を落としながら、何度もお礼を言った。

「進くんが聞いてくれたからや。ぼく、あれで自信がついた。
僕の話す言葉は、人には伝わり難い。そやから
諦めて空ばかり見てたんや。でも、君は聞いてくれた。
僕の為にケンカまでしてくれた。
僕、話す言葉は伝わらなくても、書いた言葉なら
みんなに伝えられる。そう思ったんや」

これ、僕の絵本や。
そう言って渡された絵本の題名は
『歌泥棒とカナリア』

「良かった。おれ、続きが気になっててん。これで
すっきりするわ」
笑いながら泣く進に、あっちゃんはもう一度礼を言って
車に乗り込んだ。

それを聞いて進は更に泣いてしまった。

彼は最後にこう言ったのだ。
「ありがとう、僕のウルトラマン」


進は、デュワッと空に帰る真似をしながら
バイトに戻っていった。