リリカは怖くて動けません。
今しも猫がとびかかろうとした時、その尻尾をゴローが
思い切り踏みつけました。

ふーっ!
猫は怒りと痛みで矛先をゴローに向けました。
鋭い爪がゴローを弄びます。
徐々にゴローの体は綻び始めてきました。
その時です。

「ウーッ!ワンワンッ」
突然、犬の吠える声が辺りを包みました。
猫は驚いて逃げだします。

「バウワウッ!ガルルルルッ!」

どうも妙な吠え声です。音の出所は、アイビーのスピーカーでした。
アイビーはボリュームを最大にして、犬の声を出したのです。

「ワオォォ~ン」

「アイビー、アイビーったらもう大丈夫よ。もう止めていいよ、
早く止めないと体から煙が出てるよ」

限度を無視した大声は、アイビーの体にかなりの負担をかけたのでした。

「え?わぁ、これはマズイ」

慌てて体を冷やそうとするアイビーを冷たい水が襲いました。
おかげで、何とかオーバーヒートは免れました。
水は背中から浴びせられています。
振り向くと、そこにはズブ濡れのゴローがいました。
ゴローは、すぐ近くの水たまりに自ら飛び込み、体に水分を
含んだまま戻ったのです。
おかげで綺麗だったゴローの体は泥だらけになりました。

十へ