激しい衝撃の後、しばらく失神していたらしい。
前髪と額がゴワゴワしているのは、血のせいだ。触るとまた、傷口が開いたらしくヌメついてきた。

確か…山道を走っていた筈だ。
もうすぐ夜が明けようという時間帯だ。

急にブレーキが効かなくなった。
エンジンブレーキを使うべきだったが、己の腕を過信していた。
気がついた時にはロックしていたのだ。

左側は崖だ。
右に突っ込んで止めるしかない。
目前に迫る山肌に思わずハンドルを切ってしまったらしい。

車は激しくバウンドし、そこで俺の意識は途切れた。

そして気がついたら目の前に朝焼けの空があったというわけだ。

空。

空?

なぜ、空だ?!

俺は山肌に向かって突っ込んだ筈だ。
なのに何故、目の前に空がある?

身動きした途端、車がゆらりと揺れた。

なっ!

なんだ?
まさか…

そろそろと顔を右に向けた。
予想は当たっていた。

俺が乗った車は、崖っぷちでヤジロベーのようにゆらゆらと揺れていたのだ。


ひぃ。

息が止まる。

体が固まる。

指一本動かせない。

ゆっくり、ゆっくりと顔を正面に戻した。

どうすれば良いのだ。