「おぬし、この勾玉が地の龍を呼ぶと何故知っている。
この事は、我等天狗族しか知らぬはず」

「いえ、ですから天狗様が」

なおも烏天狗は尋ねる。
「ぬし、奥州の訛りが無いな。それどころか、京訛りがある。
おい、先程の勾玉を調べてみよ」

言われた一羽が慌てて調べた。
「ああっ!これは石くれでは無いか!」

「雁木。おまえ、誰じゃ」

キジムナーは持っていた勾玉をすねこすりに投げた。
「すねっ!これ持って逃げろ!お前の出番だ、ここは俺が止める!」

言うが早いかキジムナーは巨大な塗り壁に変化する。
烏天狗達を閉じ込めた。

「くそ、出せっ!」
「斬ってしまえ、早く」

幾度も幾度も烏天狗達が斬りつける。
だが、キジムナーはそれでも離そうとはしなかった。

「い、急げ、すねこすり、早く行けーっ!」

「キジムナー…おまえ、くそ、おらも負けねぇ」
すねこすりは後も振り向かず、走り出した。

「へへ。速い。速いな、すねよ」
ようやく烏達が出てきた。キジムナーは既に事切れていた。