琵琶湖の北部に桜の
名所がある。
海津、という。
湖水に映える桜並木
は、何とも言えず
艶やかで誰でもが
心踊らされてしまう。
シーズン中は県内外
から多数の花見客が
訪れ、一日中賑わいを
見せる。
そこから少し離れた
場所に一本の古い
桜の木がある。
毎年、見事な花を
咲かせるのだが、
ここには花見の喧騒
は無い。
酒も歌も笑いも、
そこには似合わない。
その桜は墓地の中に
咲いているのだ。
太吉桜と呼ばれる
この桜は不思議な
事に、真っ赤な
花びらが混じる時
がある。
その理由を知るには、
150年ほど前に
遡らなくては
ならない。
海津の村に太吉
という若者がいた。
早くに両親を無くし、
一人暮らしを続けて
いた。
穏やかな人柄であり、
漁の腕も確かであった
為、村人達は誰もが
娘を嫁がせたいものだ
と思っていた。
太吉自身も、いずれは
嫁をもらい、子を授かり
家族と共にこの地で
暮らしていくつもりで
あった。
名所がある。
海津、という。
湖水に映える桜並木
は、何とも言えず
艶やかで誰でもが
心踊らされてしまう。
シーズン中は県内外
から多数の花見客が
訪れ、一日中賑わいを
見せる。
そこから少し離れた
場所に一本の古い
桜の木がある。
毎年、見事な花を
咲かせるのだが、
ここには花見の喧騒
は無い。
酒も歌も笑いも、
そこには似合わない。
その桜は墓地の中に
咲いているのだ。
太吉桜と呼ばれる
この桜は不思議な
事に、真っ赤な
花びらが混じる時
がある。
その理由を知るには、
150年ほど前に
遡らなくては
ならない。
海津の村に太吉
という若者がいた。
早くに両親を無くし、
一人暮らしを続けて
いた。
穏やかな人柄であり、
漁の腕も確かであった
為、村人達は誰もが
娘を嫁がせたいものだ
と思っていた。
太吉自身も、いずれは
嫁をもらい、子を授かり
家族と共にこの地で
暮らしていくつもりで
あった。