しかしバートリはその
声に微笑みで返し、
大きく両腕を上げた。

見る見るうちにその
体が変貌を遂げて
いく。

彼女の毛穴から赤い
霧が湧き出していた。
その霧が辺りに広がり
始めた。一匹の猫が
その霧に触れ、途端に
窒息死する。

恐るべき霧の正体は
バートリが何百年
もの間、体内に貯め
続けている乙女達
の血液であった。

彼女はそれを自由に
霧として噴出できる
のだ。

「くそ。厄介な女だ。
お前たち、退けっ!」

霧から逃れるように
猫達は屋根から屋根
へ逃げていく。

そしてバートリと先生
だけが残った。

血まみれの伯爵夫人
の呼び名通り、
真っ赤に染まった
バートリが先生に
笑いかけた。

「さぁ、ようやく
一対一ね。
今日こそ貴方の血、
全ていただくわ。」

「しつこいな。そんな
血に塗れた手で
撫でられてたまるか。
私の頭を撫でて良い
のは、この家の人達
だけだ!」

言うが早いか先生は
バートリに向かった。