カリフォルニアの空は青い。
確か昔、そんな歌があった。
山崎は、微かな記憶の片隅から引っ張り出してきた
鼻歌を歌った。
自然と笑顔になる。
慣れない海外生活で、疲れているはずの家族が
何とか頑張れるのも、山崎のこの笑顔のおかげだ。

彰宏と共に渡米して早くも三ヶ月が経った。
ドナーが現れ次第、手術が行われる手筈は整えてあるが、
今のところ、このUCLAで彰宏は無駄に時間を過ごすしか無い。
妻の春海は、日本寿司の店で働いている。
善意で集まった募金にはなるべく手をつけないでおこうと話し合った結果だ。
神田寿司というその店は、気の良い店長が一人で経営している。
彰宏の話を聞きつけ、自ら働き口を持ってきてくれたのだ。

山崎自身もまた、懸命に働いている。
以前、世界的な規模の実演販売を依頼された時に
アメリカ国内で就労可能なユニオンには登録してあった。
今、それが役に立っているわけだ。

(思えばあの頃は、妙な依頼ばかり受けていたな)
山崎はふと、思い出しニヤついてしまった。
カンボジアの奥地、宇宙人相手。
何より辛かったのは、ヤクザに捕まって麻薬漬けにされた時だ。
あの時、自分を救ってくれたのは彰宏と春海だった。
今、その彰宏が明日をも知れぬ運命に晒されている。
ならば守るのは当然だ。


二へ