「好きにしなよ。
なぁ八っつぁん。
おまいさん、おかみさんがエラく困ってんの知ってんのかい?」

「かかぁが?」

「そうだよ、験かつぎもたいがいにしとかないと。おかみさんね、うち来てんだよ。戻んないってさ」

「な、何!!返せ戻せこの大家!」

「落ち着きなよ。返さない、じゃない。帰んないってんだよ」


「ほな、どないしたらよろしいでおまんねん」

「だから落ち着きなって。慣れない関西弁使うんじゃないよ。
さて、ここにクジがある。
おかみさんが言うには、一番縁起が良い数字を選んだら帰るってさ」

「へ?んなことでイイの?なんだなぁ、あいつも験かつぎが好きなんじゃねぇか」


目の前に出されたクジは全部で十枚、それぞれに数字がふってあります。

「どれにしようかな、天神様の言うとおりっ!八番っ!」

「天神様無視じゃないか。本当に八番でいいんだね?」

「あたぼうよ。嘘と坊主の頭は、ゆったことがねぇ」

「…おまいさん髪結いでも何でも無いじゃないか。ほれ、八番だ。開けてみなよ」


八っつぁん、恐る恐るクジを開けてみます。
何やら字が書いてあります。


「八…方?やった、八方円くおさまるって寸法か」


おしまいへ