皆が必死に掘り返している間も、サイレンは鳴り続けていた。

俺は確信していた。
間違いない。大島のじぃちゃんだ。
老人ホームの裏手にじぃちゃんの家は有った。
一緒に土砂崩れに巻き込まれたに違いない。

「有ったぞっ!屋根だ、見つけた!」

重機が持ち込まれ、一気に屋根が剥がされた。

押しつぶされた柱と壁が、うまく空間を作っている。
そこに、老人ホームの全員がいた。
全員、泥まみれだが無事なようだ。
自力で這い上がってきた。

部屋の片隅に大島のじぃちゃんの姿が見えた。

「大島さんっ!大丈夫ですか!」

俺は駆け寄り、じぃちゃんを抱き上げた。
なんてことだ。

じぃちゃんは、激しく吐血していた。

直ちに救急センターに搬送されたが、大島のじぃちゃんは、二度と戻っては来なかった。


人間には有り得ないほどの声を出した為、肺が裂けていたらしい。
更に、脳内出血も見られた。


来年の春、じぃちゃんの真似るウグイスは、もう聞けなくなった。