週に一度、木曜日の夜、決まってななは店にやってきた。
たちまちのうちに、店の常連客の注目を浴びるようになる。
今夜もななは、熊特製のダンサー向けメニューを食べ、
バイトに向かっていった。

「ななちゃん、素敵だよなぁ…」
バイトのあふろ君が、食器を洗いながら
ウットリと宙を見つめる。

「はは、あふろ君、また恋?」
茶化すのは胡麻コだ。
お得意の三味線で「お医者さまでも草津の湯でも~」と唄う。
「恋の病は治らないのよ、あふろ君。あ、でもいぶさんの
チキン南蛮食べれば悩みは吹っ飛ぶかもよ」

「だぁ。胡麻コさん、茶化さないでください。なぁにが、また、っすか」
あふろ君は真っ赤になった。

「あ、熊さん、ごめんなさい、忘れ物しちゃった」
ななが突然、帰ってきた。

「な、ななちゃん…」
あふろ君の顔が、なおいっそう真っ赤になる。
店の前に立てば、赤提灯の代わりになるかもしれない。
一言も喋れないあふろ君を見かねて熊が訊いた。

「何?なに忘れたの?」
ななちゃんが嬉しそうにチラシを差し出した。

「これ、貼ってもいい?店の掲示板に」

「お。公演のチラシか。もちろん、かまわんよ。
そういう時の為の掲示板だ。あふろ君、貼ってあげなさい」

五へ