病室に戻り、荷物の
整理を始めたあたしに
看護婦さんが言った。

「この度はお役に
立てませんで」


その言葉はあたしの耳
を素通りした。

主治医から余命を
聞かされてはいたけど
まだ信じられない。
涙も出なかった。

安置室で眠るあなたは
今にも目を開けて
あたしに笑いかけそう
だったから。


旅行が大好きだった
あなた、いつも同じ
景色は退屈だったで
しょうね…

もうすぐクリスマス、
もう一度愛してると
言って欲しかった。


コツコツ


窓の外に小鳥が居た。



「そう言えば、御主人
、よくその小鳥に話し
かけてらっしゃいまし
たわ」


「そうなんですか。
おまえ、あの人を
慰めてくれたの?
ありがとう」

その小鳥は手を
近づけても逃げな
かった。


あたしの肩に乗ると
ハッキリと喋った。


メリークリスマス

アイシテルヨ

ケイコ


何度も何度も繰り返し
、その小鳥は喋った。


ひとしきり喋った
小鳥は飛び去った。


あぁ、あなたが逝って
しまった。

あたしはようやく
大声で泣く事が
できた。