その日、つくね家は一致団結して最大の難関に挑んでいた。
BBCが主催する『激突家族・トップを目指せ!』の決勝戦まで残ったのだ。
ここで与えられた課題を全て成し遂げると、望みの賞品が手に入るのである。
ちなみにBBCといっても英国国営放送ではない。
びわ湖放送である。

第三スタジオに組まれたセットの中程で、どことなく鯰に似た司会者が
ここぞとばかりに声を張り上げた。
「それでは激突家族、第一ステージです!よろしいですか、つくね家の皆さん」

『おぃ~っす!』
乱蔵、いぶ、綾、若様、そして先生。
全員が一斉に右拳を突き上げる。
もとい、先生だけは右前肉球を突き上げた。

「おやおや、なんと猫ちゃんまで参加ですか。
蝶ネクタイなんかして、なかなか可愛らしい猫ちゃんですねぇ」
そう、今日の先生は蝶ネクタイですまし顔である。

やや気圧された様子を見せながら、鯰司会者は乱蔵を手招いた。
「ではまず、つくね乱蔵さん、前へどうぞ」

さすがに緊張を隠せない乱蔵が進み出る。
純白の空手着を黒帯でキリリと締め、乱蔵は壇上に上がった。
そこにはバット二本とブロック、瓦13枚が用意されてある。

「乱蔵さんへの最終課題、スタート」
乱蔵は低く押忍と答え、まずはバットに向かった。
スタスタと歩み寄り、そのままの流れで右足を振るう。
メキッという乾いた音を立て、バット三本が見事にへし折れた。
歩みを止めること無く、ブロックに向かう。
一呼吸整え、裂帛の気合いと共に手刀を振り下ろした。
ブロックもクリア。
最後は瓦だ。
瓦の前に立つ乱蔵の表情が一瞬曇った。