読者諸氏は、ライフルの弾と日本刀、どちらが強いか御存知か。
筆者は、テレビのとある番組で見た光景が忘れられない。
それは台上に固定した日本刀目掛け、ライフルの弾を打ち込む、という
企画であった。
万力により真っ直ぐに固定された日本刀目掛け、ライフルが発射される。
なんと、日本刀は折れることも欠けることも無く、見事にライフルの弾を
両断したのだ。
だがそれは『万力によって固定された日本刀に向けて撃つ』という
条件が満たされてこその話。
果たしてそれが十兵衛にできるのか。

カッ、という音であった。
一瞬置いて十兵衛の背後が、左右同時に爆発する。
十兵衛の両足が地にめり込んでいる。
それほどの衝撃であった。
十兵衛は見事に炎弾を両断した。
斬月を軽々とあやつる力と、一分の見切りを持つ目が
それを可能にしたのだ。
が、さすがの十兵衛も片膝をついた。

毘沙門天も打つ手を全て使い果たし、座り込んでいる。
「阿修羅のようだな、十兵衛。ならばわしが勝てるはずも無い。
布袋。天海様に詫びておいてくれ。せめて十兵衛を道連れに
行く」
毘沙門天の体が異様に膨れ上がり始めた。
それを見て一番慌てたのは、他ならぬ布袋である。
「ま、待て待て毘沙門っ!ならぬぞ、早まるなっ!
くそ、せめて一人だけでも…」

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