「コチラニ イラッシャッタノデスカ。
…アキコサマ。ドウサレマシタ。
アキコサマ…」

亜紀子は微笑みを浮かべていた。
写真の中の微笑みによく似ていた。
何故笑っていたか、ようやく思い出したのかもしれない。

こうして、幸せな日々は幕を降ろした。
葬儀の日、ジローは花を抱えてきた。
いつか、丸坊主にして怒られた花壇の花だ。
今はもう叱る人は居ない。
亜紀子の棺をその花で埋め、
ジローは葬儀の列を見送った。
ジローはまた、清掃ロボットに戻った。
そして、それきり話す事を止めた。



この街には名物が二つある。
一つは海の見えるレストラン。
選ぶなら窓際の席が良い。
運次第では鯨を眺めながらの食事が楽しめるだろう。

もう一つは、頭に花を飾った清掃用のロボット。
しばらくメインストリートに立ってさえいれば、
鯨とは違い、必ず出逢える。

もし万が一、見つけられなかったら、
海が見える墓地に行くといい。

そこに彼がいる。
沢山の花に埋もれ、小さな墓の前に
座っているはずだ。