家族は絶句した。

伊佐田氏に尻尾が生えている。

が、一見して尻尾のようなそれは、なんと人間の腕であった。

肩から先丸ごとの腐り果てた腕が、伊佐田氏の腰肉に爪を立てて食らいついているのだ。

悲鳴をあげそうになる口を無理に抑え、伊佐田氏の家族はその腕に近づいて見つめた。

右腕である。
何枚か爪が剥がれている。
どうやってかは判らぬが、腰椎を握り締めるように指が肉に食い込んでいる。

何人か耐えきれずに悲鳴をあげ、身元確認は終わった。

遺体から腕を引き剥がす作業に二時間余りも要したという。


伊佐田氏の苦痛に満ちた顔は、どうしても修復できず、家族は氏を密葬とした。



葬儀を終え、七日経ってから伊佐田氏の乗っていたボートが見つかった。
ほとんど無傷で遥か40km離れた浜に打ち上げられた。

その船縁に、人の爪らしきものが何枚も食い込んでいたという。