食事したレストランから、歩いて数分。
瀟洒なビルの一階にそれはあった。
「じゃーん。これが本日のメインイベント。あたしから早智へ
プレゼント。姉御、出所祝いでさぁ」

早智子は驚きのあまり、しばらく息をすることも忘れた。
「プレゼントって…これ、ブティックじゃない…」

「そうだよ。中に入ってみ。」

中に入った早智子は、今度は本当に歓声をあげてしまった。
「こ、この服。これ、あたしがデザインした服だ。これも。
これもそう。これも!何で、何でよ奈保ちゃん!」

「それはだな、早智子」
店の奥から父と母が現れた。

「お父さん、お母さん…すいませんでした。ご迷惑をかけました…」

頭を下げる娘を見守る父の目は、あの時と同じ優しい目だ。
「何を言ってる。早智子。父さんな、おまえを誇りにこそ思っても
怒ったりしたことはないぞ。それよりもこの店だ。
ここは奈保美さんが作ったんだ。お前のデザイン画を
ありとあらゆる所に持ち込み、頭を下げ、働きに働き続けて
店を作ってお前を待っていたんだ」

早智子は奈保美を見た。
照れくさそうに頭を掻いている。

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