封筒は次々に増えてきた。
消印は皆、都内からである。限定できないよう、次々と
ポストを変えて投函されているようだ。
密かに裕美のマンションを訪ねたが留守であった。
先程までそこに居たかのように、珈琲とトーストが残っていた。
切っ掛けを失ったまま、十日間が過ぎた。

私は婿養子の身の上である。事ここに及んでも、まだ躊躇している。
侮辱と嘲笑を耐え、ようやく手に入れた地位なのだ。
この会社の社長で居続ける為には、警察に届け出ることができなかった。

「あなた、何か荷物が届いてるわよ。ゴルフクラブかしら?」

細長い包みを持って妻が部屋に入ってきた。
その手から包みを引っ手繰る。
少し重い。
一人になった部屋で、ゆっくりと包みを解いた。

右の腕であった。
肩の近くで切り取られている。
『恭介命』と彫られている。
古臭い真似はやめろ、と言ったのに無理にやったものだ。

必死に悲鳴をこらえる私の胸で携帯が鳴った。
『次は左腕。右足、左足。ちゃんと止血はしてある。命に別状は無いが、
生きていても仕方ないかもな』