琴美の母は、見慣れた
スケッチブックを
祐輔に渡しながら、
こう言った。

「琴美は病状が悪化
してしまい、今日、
ここに来られなく
なりました。
祐輔さんのこと、
すごく気にしていて。
これを渡してほしいと。」

琴美が公園で描いて
いた祐輔の絵だった。

それはスケボーの
最中の祐輔の姿を
描いてあった。

その絵の中の祐輔は
背中に翼があった。

まるで鳥のように、
軽やかに空を飛んで
いるのだった。

そして、絵の右下に
黒いサインペンで、
こう書いてあった。

「勝てよ!祐輔。
お前は鳥になるんだ!
ご褒美が待ってるぞ!」


「あの、琴美さんは。
大丈夫、ですよね?」

問い掛ける祐輔に
琴美の母は言った。

「…あの子は多分、
車椅子の生活になる
かもしれません。
お願いです。
祐輔さん。
こんなこと、頼んでは
いけないんでしょうが
あなたは琴美の希望
なんです。
どうか、どうか優勝
してください。」

祐輔は唇を噛み締め、
もう一度琴美が描いた
絵を見た。

鳥。

鳥になる。

あいつの為に。

俺達の為に。