懐かしい想いに足を止める真紀子は、肩を叩かれ
振り向いた。
その途端、頬に指が刺さる。

「ふっふっふ、必殺くるっぷす!」
十年も経つのに、すぐに悦子と判った。
その悪戯小僧のような目は、大人になっても変わらない。

「悦子!なによ、その懐かしい技は。くるっぷすなんて
言って通じるのはうちのクラスだけよ」

「あはは、懐かしいな、真紀子。なによー、全然顔見せないでさ」
ぷう、と頬を膨らませた顔が可愛らしい。
真紀子は、一気に高校生に戻った。

「すまねぇ。だんながさぁ、転勤になっちまって」

「そか。旦那さん、商社だっけ。よし、今日は飲もう飲もう!」

「おう。飲むわよーっ!まずは三上商店でミリンダを」

「じゃあたしは…って違うわよっ!」
馬鹿笑いしながら、学校に向う。
その道すがらに集合場所があると説明されてあった。