彰宏の様態は、何とか平静を取り戻していた。
ICUの待合室で、山崎と春海、ショーンが並んでジッと彰宏を見つめている。

「山崎さん。本当にごめんなさい。僕のせいで、彰宏君が…」
山崎はショーンの肩を抱きしめた。

「大丈夫。君が悪いんじゃない。それに、私は彰宏を誇りに思っている。
友達の為にここまで出来るとは…正直、ビックリしたよ」

山崎は春海を見てニヤリと笑った。
「君には、もっとビックリしたけどね。刺身にしてやる、か」
春海は顔を真っ赤にして俯いたままだ。
その時、待合室のドアを開けてアランが入ってきた。

「父さん」

「ショーン。行くぞ。こんな警備のいい加減な病院に
お前を置いて置く事はできない」

車椅子を押そうとするアランにショーンが抗った。
「父さん。違うだろっ!まずは御礼じゃないのか。
元はと言えば、父さんが死の商人なんかやっているからだ。
彰宏君は、命がけで僕を助けてくれたんだよ?!」

言葉に詰まるアランに、尚もショーンが続けた。
「父さんはいつもそうだ。他人に感謝ができない人なんだ。
いくらお金を稼いで来ても、母さんも僕もちっとも嬉しくない。
だって父さんの仕事は人を泣かせてばかりじゃないか。
自分の仕事に誇りを持ってるかい?父さん。聞かせろよ、父さんっ!」

ショーンは車椅子を押し、待合室を出ていった。



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