「何を甘いことを…どれほど私がお前たちのことを思っているか…」
呟きながらアランは山崎から視線を逸らした。
中庭に向かうショーンの姿が見えた。

「ショーン…愛しているんだ」

「その言葉、もっと早く、ショーン君に言うべきでしたね」
山崎がアランの背中に言った。
「でも、愛してると言うのに、遅すぎるってことは無いですよ」

しばらく沈黙したまま、ショーンの姿を目で追っていた
アランは、ゆっくりと振り返り、眠る彰宏に深々と頭を下げた。
山崎と春海にも小声でサンキューと呟き、中庭に向かった。

デルフィニュームが咲き乱れる中庭で、ショーンは空を見上げている。
「そんなに口を大きく開けていると、鳥のフンが入るぞ」
父の声にショーンは振り向き、笑った。
「どうした。父さん、そんなにおかしな事言ったか?」

「違うんだ。父さん。父さんが言ったこと、僕も彰宏君に言ったことが
あるんだよ」

ショーンの車椅子を押しながら、彰宏との事を聞き、アランも笑った。
「そうか。彰宏君、素敵な子だな」

「うん。早く、ドナーが見つかると良いのにな…僕の心臓で良ければ
あげてもいいぐらいだ」


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