「本当かい、十兵衛様」
「あぁ、約束だ。判ったな、太郎丸。頼んだぞ。」
「うん。判ったよ。必ず、届ける」
再び走ろうとする太郎丸を十兵衛が止めた。
「そうだ…太郎丸、お前、竹とんぼは作ったことがあるか?」
怪訝そうな顔で太郎丸は答える。
「…うん。村に居た頃はよく作ったよ」
「そうか。それは助かる。村の祭でな、子供達に竹とんぼを
作ってやる約束をしたんだ。間に合わないかも知れぬ。
太郎丸、おまえが先に里へ着いたら、作ってやってくれぬか」
「判った。任せてよ」
「それとな」
「はい」
「俺は大好きな者には、自分のことをこう呼ばせている。十さん、だ」
「十さん…?」
十兵衛は再び走りながら太郎丸に微笑んだ。
「今から俺のことを十さんと呼べ、行くぞ、太郎丸っ!」
太郎丸の顔がくしゃくしゃに歪んだ。
泣くのを懸命にこらえているのだろう。
「はい、十さんっ!」
二人が走り出す。韋駄天がそれを追い抜いて先頭に立った。
その首には紫近が巻いてくれた首輪がある。
十兵衛達は魂を一つにして寛永寺に向かった。
八十七へ
「あぁ、約束だ。判ったな、太郎丸。頼んだぞ。」
「うん。判ったよ。必ず、届ける」
再び走ろうとする太郎丸を十兵衛が止めた。
「そうだ…太郎丸、お前、竹とんぼは作ったことがあるか?」
怪訝そうな顔で太郎丸は答える。
「…うん。村に居た頃はよく作ったよ」
「そうか。それは助かる。村の祭でな、子供達に竹とんぼを
作ってやる約束をしたんだ。間に合わないかも知れぬ。
太郎丸、おまえが先に里へ着いたら、作ってやってくれぬか」
「判った。任せてよ」
「それとな」
「はい」
「俺は大好きな者には、自分のことをこう呼ばせている。十さん、だ」
「十さん…?」
十兵衛は再び走りながら太郎丸に微笑んだ。
「今から俺のことを十さんと呼べ、行くぞ、太郎丸っ!」
太郎丸の顔がくしゃくしゃに歪んだ。
泣くのを懸命にこらえているのだろう。
「はい、十さんっ!」
二人が走り出す。韋駄天がそれを追い抜いて先頭に立った。
その首には紫近が巻いてくれた首輪がある。
十兵衛達は魂を一つにして寛永寺に向かった。
八十七へ