10年経っても、故郷の海は全く姿を変えていなかった。
古びてはいたが、家もそのままだ。
車の音が聞こえたのだろう、既に母が玄関先で待っている。
「帰れた。やっと」
耕一は、ゆっくりと車を降り、母の前に立った。
「ただいま、母さん」
母の顔がくしゃくしゃに歪んだ。
「おかえり。よう帰ってきた。さぁ、寒いから早く中へ」
「うん。母さん、紹介するよ。早由里と愛美。さ、愛美、
おばあちゃんだよ。挨拶して」
早由里の後ろに隠れていた愛美が、恐る恐る前に出て、
ペコリと頭を下げた。
「こんにちは、おばあちゃん。まなみだよ」
「おうおう、愛美ちゃん、よう来た、よう来た。
ばあちゃんです。よろしく」
母もぺこりと頭を下げた。
固まっていた時間が、じんわりと解けていく。
母の前で再び笑える時が来るとは、夢にも思わなかった耕一であった。
けれど、耕一の笑顔は父、徹太郎の前で再び凍りついた。
徹太郎は、座椅子を窓側に向け、黙って海を眺めている。
お帰り、の一言すら無い。
人懐こい早由里も、その雰囲気に圧倒されたのか、まるで笑顔が無い。
古びてはいたが、家もそのままだ。
車の音が聞こえたのだろう、既に母が玄関先で待っている。
「帰れた。やっと」
耕一は、ゆっくりと車を降り、母の前に立った。
「ただいま、母さん」
母の顔がくしゃくしゃに歪んだ。
「おかえり。よう帰ってきた。さぁ、寒いから早く中へ」
「うん。母さん、紹介するよ。早由里と愛美。さ、愛美、
おばあちゃんだよ。挨拶して」
早由里の後ろに隠れていた愛美が、恐る恐る前に出て、
ペコリと頭を下げた。
「こんにちは、おばあちゃん。まなみだよ」
「おうおう、愛美ちゃん、よう来た、よう来た。
ばあちゃんです。よろしく」
母もぺこりと頭を下げた。
固まっていた時間が、じんわりと解けていく。
母の前で再び笑える時が来るとは、夢にも思わなかった耕一であった。
けれど、耕一の笑顔は父、徹太郎の前で再び凍りついた。
徹太郎は、座椅子を窓側に向け、黙って海を眺めている。
お帰り、の一言すら無い。
人懐こい早由里も、その雰囲気に圧倒されたのか、まるで笑顔が無い。