信次は、もう一度切り抜きを見た。
破れかけた切り抜きを幸太が何度も何度も見ている様子が目に浮かんだ。目の前にいる娘が、どれほど家族を愛しているか痛いほど判った。
本当にサンタクロースが居るのならば、この姉弟のもとに真っ先に来ても良い筈なのだ。
アル中の父親さえ居なければ。

「判った。必ず届けるよ。母さんが気を使わないように、この出版社の名前で荷物を出すから心配しないで」

夏美は、初めて笑顔を見せた。
その笑顔に、まだあどけなさが残っている。
信次は寒さに顔をかばうふりをして涙を拭った。
「おまえは、何かいらないのかい?」

「いりません。2つも荷物が届いたら、母さんが気づくから」

「そうか…じゃあせめて今、ケーキでもおごらせてくれ」

美味しそうにケーキを食べる夏美を見守りながら、信次は己の無くしたものの大きさに、心を掻きむしられた。

取り返しのつかない想いだけを置き、夏美は後ろを振り向くこと無く去って行った。

信次は、ただ黙って夏美の後ろ姿を見ていた。

揺れるポニーテールが遠ざかって行く。

その姿に、信次は頭を下げて詫びた。

ラストへ