
僕は一日のほとんどを一人で過ごす。
家族から「先生」と呼ばれている大きな猫さんは、昼間は何処かに出かけたきり帰ってこないんだ。
一人きりで遊ぶ。
今まで見たことも無いようなおもちゃで一杯だ。
この家に来る前は、枯れ葉とか虫とかが遊び相手だったから、すごく楽しい。
いや、遊ぶなんてことは出来なかったな。
その日の食べ物を探すのが大変だった。
何も食べるものが無くて、目が回ることもあったし。
今は違うよ。
いつでも食べ物が有るなんて、まるで夢のようだ。
だから昼間、一人でもかまわない。
遊び疲れたら、柔らかいクッションの上で、日差しを浴びながら昼寝をするのさ。
あ。みんなが帰ってきた。
おかあさんはいつも優しく撫でてくれる。
昨日、足から肩までよじ登ったらビックリしてた。
大きなおとうさんは、僕をつぶさないように、すり足で歩くんだよ。
おかしな人だなぁ。
そして、今の僕の一番のお気に入りのオモチャはおとうさんの手だ。
おとうさんの手と遊んでいると、何かを思い出しそうになる。
僕によく似た猫さんが、悲しい顔で僕を見ている。
誰だろう。
わからないけど、すごくなつかしい。
ちょっと疲れたから、おとうさんの膝の上で寝ようかな…
さっきの猫さんの夢を見れたらいいな…