するとじゃな。
絵が盛り上がってきたんじゃよ。
むくむくぅ、っと盛り上がってきてな、
ある朝とうとう絵から抜け出てきた。

わしに向かって、花のように微笑んで
「こんにちは」

そう言ったんじゃよ。
わしは嬉しゅうてのう。
とんでもなく嬉しゅうてのう。

だがな、絵から抜け出てきたばかりの小梅は
ぺらぺらでのう。
そうじゃの、凧みてぇなもんじゃ。
ぺらぺらと、風にふかれるたびに揺れてしまう。

それでもわしゃ、構わずに小梅を大事に大事に
したんじゃ。
するとな、だんだんと厚みが出てきた。

こっ恥かしいことじゃがな、好きになればなるほど、
小梅は人間らしゅうなっていったんじゃ。

二週間も経たんうちに、小梅はすっかり人間になった。
わしゃ一人暮らしだったからの、小梅を嫁さんに
もらうことにしたんじゃ。
それからもずっとずっと好きなままじゃからの、
小梅もずっとずっと人間のままなんじゃ。