では私も(笑


◎ 残念でした

エレベーターの扉が開いた。

「いいか!動くなよっ!」

モデルガンを振り回しながら、男はエレベーターに駆け込んだ。

もう一方の手にはカバン。
その中には、サラ金から奪ったばかりの札束が唸っている。

従業員達は両手を挙げたまま、身動きもしない。

「よし、後は一階に降りるだけだ…あれ?なんだこれっ?!」

慌てふためく男を嘲笑うようにアナウンスが流れた。

『現在、行き先階ボタンは御使用になれません。
上へ参ります』

5 6 7 8 9
ようやく屋上で止まった。

エレベーターの扉が開いた。

「はい残念でした」

警官隊が待ち構えていた。



◎ 注文

エレベーターの扉が開いた。

厨房から料理が上がって来たのだ。

洋子は、湯気を立てる料理をワゴンに載せ換え、客席に運んだ。

今日は客足が絶えない。
洋子は次のオーダーシートをエレベーターに載せ、厨房に下ろした。
それを見たコックが調理する仕組みになっている。

『北京ダック・青椒肉絲・エビチリ・若鶏の唐揚げ』

次々に注文が捌けていく。
何を考えているのか、あまりよく判らないコックだが、腕は確かだ。
メニューに書いてない料理でも、文句一つ言わずに作り上げる。

時折、厭な目つきで舐めるように見つめるのだが、面と向かって会話する機会が無い為、洋子は気にしないでいた。

「さて次」

洋子は気づかなかったが、彼女の胸から外れた名札がオーダーシートと共に厨房へ降りて行った。

誰かが階段を上ってくる。

コックだった。


彼は、洋子に向けて中華包丁を振り上げた。