ちょっと舐め比べてみますか、と熊は小皿を二つ出してきた。
一方は塩辛味が強い。すぐに舌に伝わる。いわゆる、塩の味だ。
「それがJTの塩です。日本たばこ産業の塩」
もう一方を舐めてみて綾は目を瞠った。
深い。
少し苦味があり、甘味もある。
なんとも言い様の無い複雑な味だ。
「あのね、JTの塩ってのは、難しいんだよね。
俺みたいなズボラな人間には厄介でね、
要するに完璧すぎるんだな。
隅々までビシィッと決めなきゃ、
どこか尖がった味になってしまう。
けど、こいつは違う。
少し薄くしても美味い。少し濃くしても美味い。
味の許容範囲が広がるんすよ。
だから、疲れてるお客さんには、少し濃い目に塩を振る。
お年寄りや、塩分を控えなきゃならない人には薄めに塩を振る。
塩加減するには、それぐらい懐の広い、優しい塩が良いんすよ」
綾は、もう一度、両方の塩を含んだ。
あぁ、あたしはこれだ。 JTの塩だ。
完璧だけど、刺々しい。
相手にも完璧さを求める塩だ。
相手を屈服させる塩だ。
おわりへ
一方は塩辛味が強い。すぐに舌に伝わる。いわゆる、塩の味だ。
「それがJTの塩です。日本たばこ産業の塩」
もう一方を舐めてみて綾は目を瞠った。
深い。
少し苦味があり、甘味もある。
なんとも言い様の無い複雑な味だ。
「あのね、JTの塩ってのは、難しいんだよね。
俺みたいなズボラな人間には厄介でね、
要するに完璧すぎるんだな。
隅々までビシィッと決めなきゃ、
どこか尖がった味になってしまう。
けど、こいつは違う。
少し薄くしても美味い。少し濃くしても美味い。
味の許容範囲が広がるんすよ。
だから、疲れてるお客さんには、少し濃い目に塩を振る。
お年寄りや、塩分を控えなきゃならない人には薄めに塩を振る。
塩加減するには、それぐらい懐の広い、優しい塩が良いんすよ」
綾は、もう一度、両方の塩を含んだ。
あぁ、あたしはこれだ。 JTの塩だ。
完璧だけど、刺々しい。
相手にも完璧さを求める塩だ。
相手を屈服させる塩だ。
おわりへ