一段と寒さを増したホームで、二人は同時に缶を開けた。

「お疲れ様でした」

どちらともなく、乾杯。熱々のお汁粉を一口すすり、井坂は深く白い溜め息を漏らした。


「こりゃあ堪らん」

「でしょ?」
関根が嬉しそうにまた、くしゃくしゃの笑顔を見せた。

「さ、ここからが大事。この小豆の粒を如何にして残さずに飲みきるか」
言うが早いか、既に関根は缶をくるりくるりと滑らかに回している。

ピタリと止め、一気に流し込む。
缶の口から中身を覗き込み、残念がる。
ここまでが一連の動きだ。
井坂は呆れると同時に嬉しくなった。

「その様子だと、残っちゃいましたか?」

「ええ、四粒。うぅむ、残念な」

「よし、こんだぁ私が」
関根も、見よう見まねで缶をくるくると回し、一気に流し込んだ。

温かく柔らかな小豆が口中に満ちる。

「うん、手応えあり。いや、手じゃないな。口応えありだ」

そっと覗き込み、井坂は小さくガッツポーズを取った。

「三つですな」


「なんと。貴方、才能ありますよ」

「本当ですか?よし、極めてみるか」


知り合いから友達に変わるのは一瞬だ。
この瞬間の二人が正にそれであった。