僧兵が襲い掛かった。が、その半数がいきなり倒れた。
矢が突き立っている。
次いで、本堂に煙玉が投げ込まれ、虚無僧の集団が
なだれ込んできた。

「十兵衛様!今のうちに早くっ!」
弥平太である。
この機を逃す十兵衛ではない、又佐と太郎丸を急がせ、外に向かった。
立ちふさがろうとする僧兵達があっという間に切り捨てられる。
続こうとする僧兵達も次々に飛んでくる矢に阻まれ、前に出ることすら
できない。

「すまぬ、弥平太。おぬしらも早く吉原へ!」
十兵衛達が吉原に走り出すのを見て、弥平太は首代達に
引き上げを命じた。

堂内はまだ、煙に満ちている。
悠々と引き上げることができるはずだ、弥平太は会心の笑みを浮かべた。
だが次の瞬間、その笑いが凍りついた。
煙が急激に薄れていくのだ。

布袋が袋を開けていた。
煙は、その袋の中に吸い込まれていく。

「おぬしらのおかげで十兵衛を逃がしてしまったのう…許しがたき所業じゃ。
天海様、いかがいたしましょうや」

「うむ。くだらない連中ではあるが、その剛健な体は良い
腐肉になるであろう。腐り穴へ吸い込んでしまえ」

「御意」


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