その音でマリアが目を覚ました。
「あ。おはようございます、もう大丈夫ですか?」

その笑顔が眩しく感じる。
部屋に差し込む日差しのせいだけではないことに、トマムは気付いた。
「おはよう…ここは、あなたの家ですか」

「はい。随分長い間眠ってらしたから、心配しました。
今、食事持ってきますね」

「あ、あぁすいません」

トマムは運ばれてきた食事に目を瞠った。
「これ、あなたが作ったんですか?」

マリアは心配そうにうなづく。
「まだまだ修行中なんです。美味しくなかったですか?」

「いや。すごく美味い」
何よりもトマムの食欲が、その言葉に嘘が無いことをあらわしている。
皿が次々に空になっていく。
安心した、とでもいうように胸を撫で下ろし、
マリアも共にテーブルについた。

「トマムさんって強いんですね」

トマムが手を休め、答えた。
「そう…なんでしょうか。自分では全く覚えが無いんです。
気がついたら飛び出していた」

「きっと、何かをやってらしたんですよ。本当にすごい」

トマムはマリアの言葉を遮るように言った。
「すごいのはあなたの方だ。こんな美味しい食事が作れるなんて…
美味しい食事は、人を幸せにしますからね」
それはマリアにとって何よりも嬉しい褒め言葉だった。