(おかしいわね…?)
もっとおかしい事に、誰も居ないはずの教室なのに笑い声が
聞こえるのだ。

恵子は背筋に冷たいものを感じながら、思い切って
部屋の中に忍び込んだ。
笑い声の聞こえる方向へ進んでいく。
部屋の片隅から聞こえてくる。
本当に楽しそうな声なのだ。

「な…に、これ?」
恵子が驚いたのも無理は無い。
笑い声は、一冊の絵本から聞こえていた。

開かれた絵本には、白い砂浜と青い海の絵が描かれてある。
そしてその絵の中に、園児達と町田先生が入り込んでいた。

みな、楽しそうに遊んでいる。
砂山を作る者、スイカ割りを楽しむ者、波打ち際で遊ぶ者。
幸太は何人かと一緒に砂山を作っていた。
一生懸命にバケツで砂を運んでいる。
ニコニコと笑いながら、みんなと仲良く遊んでいる。
太陽にも負けないぐらい明るい笑顔だ。

見ている恵子の頬を涙がつたい、絵本にぽたぽたと落ちた。

頑張って遊びなさい。
口の中でそっとつぶやく。
誰かが来た気配がした為、恵子は部屋を抜け出し家に帰った。


六へ