「たーいーちょーぅおー」

ようやく樹林は気づいたようだ。
「なぁんだよ縄谷。何が気になるってのさ」

クラビッツちゃんの事になると、樹林は仕事そっちのけに
なってしまうのだ。
早めに話をぶった切った縄谷の対応は流石である。

「花子ちゃんのことっすよ」

「花子ちゃん?」

「そうっす。おかしいと思いませんか」

樹林と多中は、同じように首をかしげ、同じように「何が?」と答えた。
あまり可愛くない。

「おかしいってのは花子ちゃんの数ですよ」

「数?」
「そうです、いいっすか、今夜の花子ちゃんで257人目。
でも気づいたでしょ、257人のうち、同じ花子ちゃんが
70人いた」

静まり返った校庭で三人はお互いを見詰め合った。
今頃気付いたのか、と誰か突っ込んでも無駄である。
再三再四言うが、そんなスマートでクレバーな人間は
都伝隊に入る資格が無いのだ。

「確かに。髪型も服装も、言葉使いも。何から何までソックリの
花子ちゃんだったな」

「でしょ。隊長、何でですかね」

樹林が顎に手を当てて考え込んだ。
クラビッツちゃんはまだ、目から光を出している為、
樹林の顔が下からライトアップされている。
ちょっと怖い。
いや、かなり怖い。


四へ