夏が過ぎ、秋の気配が訪れてもケンタとチャコは元気良く動いていた。
重蔵が熱心に育てたからか、色つやも良い。
重蔵はいつの間にか、カブトムシが永遠に側に居続けるものと思い込んでいた。
少し肌寒い夜。
重蔵は何か違和感を覚え、目覚めた。
(なんじゃ…なんか変じゃの…ケンタ。チャコ!音がせんっ)
重蔵は焦りのあまり、もつれるように虫カゴに向かった。
震える手でケンタとチャコを取り出す。いつもなら、それだけで動きだすのにピクリともしない。
優しく指で撫でてみたが、まるで模型のように固まっている。
「ケンタっ!チャコよぉっ!またわしは置いてけぼりか」
妻が亡くなった時、全て枯れ果てたはずの涙が後から後から溢れてきた。
重蔵は、いつまでもケンタとチャコを撫でながら泣き続けた。
夜が明けた。
まだ暗いうちから重蔵は椚の木に向かった。
「生まれた土に帰してやるからの。ありがとうよ、ケンタ、チャコ。楽しい夏じゃった」
土を掘り返し、そっと二匹を置こうとして重蔵は気づいた。
土の中にカブトムシの幼虫が居たのだ。
二匹を丁重に弔い、重蔵は慌てて部屋に戻った。
「おぉ、おぉ、おるわ。ケンタとチャコの子供らじゃ。あいつら、この年寄りに土産を置いていきおった」
次の夏、カブトムシは二十匹に増えた。
だが、重蔵の手元には二組しか残っていない。
重蔵は、カブトムシ爺さんと呼ばれ親しまれるようになっていた。
育てたカブトムシ達を大切にしてくれる子供達に無料であげるからだ。
今日も朝から、重蔵の家は近所の子供達で溢れている。
重蔵はニコニコと、子供達にカブトムシの飼い方を教えている。
最近、重蔵はキチンと食事を採り始めた。
いつまで続くか判らないが、来年のカブトムシを見る為にはまず体力じゃ。
それだけが最後に残った言い訳である。
重蔵が熱心に育てたからか、色つやも良い。
重蔵はいつの間にか、カブトムシが永遠に側に居続けるものと思い込んでいた。
少し肌寒い夜。
重蔵は何か違和感を覚え、目覚めた。
(なんじゃ…なんか変じゃの…ケンタ。チャコ!音がせんっ)
重蔵は焦りのあまり、もつれるように虫カゴに向かった。
震える手でケンタとチャコを取り出す。いつもなら、それだけで動きだすのにピクリともしない。
優しく指で撫でてみたが、まるで模型のように固まっている。
「ケンタっ!チャコよぉっ!またわしは置いてけぼりか」
妻が亡くなった時、全て枯れ果てたはずの涙が後から後から溢れてきた。
重蔵は、いつまでもケンタとチャコを撫でながら泣き続けた。
夜が明けた。
まだ暗いうちから重蔵は椚の木に向かった。
「生まれた土に帰してやるからの。ありがとうよ、ケンタ、チャコ。楽しい夏じゃった」
土を掘り返し、そっと二匹を置こうとして重蔵は気づいた。
土の中にカブトムシの幼虫が居たのだ。
二匹を丁重に弔い、重蔵は慌てて部屋に戻った。
「おぉ、おぉ、おるわ。ケンタとチャコの子供らじゃ。あいつら、この年寄りに土産を置いていきおった」
次の夏、カブトムシは二十匹に増えた。
だが、重蔵の手元には二組しか残っていない。
重蔵は、カブトムシ爺さんと呼ばれ親しまれるようになっていた。
育てたカブトムシ達を大切にしてくれる子供達に無料であげるからだ。
今日も朝から、重蔵の家は近所の子供達で溢れている。
重蔵はニコニコと、子供達にカブトムシの飼い方を教えている。
最近、重蔵はキチンと食事を採り始めた。
いつまで続くか判らないが、来年のカブトムシを見る為にはまず体力じゃ。
それだけが最後に残った言い訳である。