なるほどな、と涼子は感心した。
父にしては上出来な発想である。
気が利くようで、存外抜けている人なのだ。

「父さんにしては素敵なアイデアだこと。いいわ、あたしも一緒に考えてあげる」

涼子は父と並び、写真に見入った。

「かるた取りみたいだな」

「余計なこと言わないの。花か…沢山ありすぎて絞れないわね。これって骨董市?お茶碗が写ってるけど。で、こっちが猫」

「じゃあ、いっそ猫にお茶碗と花を添えて」

ぱこ。

「父さんをぶったな」

「ぶつわよ。バカばっかり言ってたら」

笑い合いながら、尚も探すうち、涼子はようやく気づいた。

「判った。父さんと母さんの写真の違い」

「なに。判ったのか」

ただでさえ大きな目を丸く見開き、父は涼子と写真を見比べた。

「あのね、目線よ目線。母さんの写真は、全部が相手の目線の高さに合わせてるの。例えばこれ」

涼子は、二枚の写真を並べた。
「あたしの小学校の入学式の写真。父さんが撮影したでしょ」

「うん」

「ほら、斜め上から撮ってる。でも母さんが撮ったのはこれ。真っ直ぐ前を見てる。この猫なんか、地面に這って撮影したんじゃないかな」