富くじで八を選ぶのは当たり前。
ちょいと湯に浸かってくらぁと出かけたまま帰んないから、おかみさんが見に行くと、下足箱の前でぼんやり座ってる。
「おまいさんどうしたの」
おかみさんが聞きますな、

「いや、八番の下駄箱が空かねぇんだ」

こりゃあきれます。
それだけじゃない。
ひとつ買やぁ済むものも、八つ揃えなきゃおさまんない。

食べるものはタコと八ッ橋が大好き。
どうかすると、八ッ橋にタコ挟んで食っちまう。
タコ八ッ橋。

とうとう、おかみさんたまんなくなって大家さんに相談に行きました。

「そいつぁ大変だねぇ…。うん、わたしに良い知恵がある」

ってんで大家さん、早速、用意を始めました。

墨で半紙に何やら書付けまして、八っつぁんちに向かいます。

「八っつぁん、いるかね」

「お、こりゃ大家さん、まぁ汚くて店賃の溜まってる家だが良かったら、へぇってくんねぇ」

「汚くて悪かったね。店賃払ってくれりゃ幾らだってきれいにしてあげますよ。もう三つも溜まってるよ」

「なに、まだ三つっきゃ溜まってねぇ?八っつ溜めなきゃ気が済まねえ」

「さ、そこだ」

「…どこですってキョロキョロした方がようがすか?」

三へ