残念ながら、昼のデリバリーには立ち会えそうもないが、
現場スタッフの手ごたえを知らねばならない。
成功を確信しつつ、春美はスタッフルームへ向かった。

「どやどや、みんなめっちゃ喜んでくれたんちゃうの」
返事が無い。
スタッフは皆、うつむいたまま顔もあげようとしない。

「なんやいさ。しんき臭い空気やな。どしたん」

スタッフの一人、横山が黙ったまま部屋の一角を指差した。

「なんやっちゅうのよ。気色わるい……げげ」
春美の顔色が青ざめた。
そこに有るのは、残食の山であった。

「これ…全部返品かいさ」
近づいて袋を手にしてみた。
お湯で湯掻くだけの麺と、ネギや蒲鉾、だし汁、それと油揚げが
パックになっている。
特にその油揚げには自信があった。

「どんなふうに拒否されたか、誰か説明して」

横山が俯いたまま説明を始めた。
「食べてくれる人も居たんですけどね、ほとんどの人が
袋を破って材料を取り出した途端、要らないって」