トマムは、皆が待つ広場に転がるように到着した。

「村長。いったん、村を捨てて山に逃げてくれ。
村は荒らされるかもしれんが、生きてさえいれば、
すぐにまた元通りに戻せる」

「うむ。その通りじゃ。そうしよう」
固唾を呑んで見守る村人に向かい、村長は大きく手を
かざして言った。

「皆、よく聞いてくれ。やはり、グレンシールドの部隊が
この村を目指している。ここは一旦、山に隠れるのじゃ」

その言葉が終わらないうち、何人かの村人が口々に抗議し始める。
「俺は、俺の店は」
「ばあさんは寝たきりなんだ、どうすればいい!」

再び、喧騒が広場を包んだ。
そしてその喧騒を納めたのは、またしてもトマムが叩く棍棒の音だった。

「落ち着いて聞いて欲しい。上手くすると、奴等はこの村に
何もせずに帰るかもしれない」

「どういうことじゃ?」
村長が訝しげにトマムを見つめる。
トマムは意を決したように口を開いた。