仁科は見事、近畿大会で優勝していた。
勢いに乗って次々と大会を制覇していく。
哲郎のことが気になって仕方が無かったが、
次々に招かれる大会に出場するのが精一杯であった。
哲郎と別れて三年目の春。
仁科はようやく、まとまった休暇をとることが出来た。
佐久田村に向かう。
その手には、哲郎の為に用意した、純白の空手着と白帯があった。
しばらくは一緒に稽古ができる。
そう思うだけで、自然と微笑みが湧く。
仁科は汽車の中からずっとニヤニヤと笑ったままだった。
この時間帯だと、まだ畑だろう、仁科はそう判断した。
通りかかった村人に道を尋ねた時、仁科の顔から微笑みが消えた。
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