「冗談じゃないよ。そんな仕事がさせられるわけないだろ。
熊さんに頼んどいたから、ちっと寒いけどね、川のゴミ拾いだ。
世の中の役にも立つし、一石二鳥だ。言っとくけどね、
断ったらこのまま長屋を出てってもらうよ」

この歳の瀬に住む所を無くすわけにはいきません。
金ちゃん、あきらめて出かけました。
川のゴミ拾い、昔で言うところのガタロ、と申します。
かっこうよく言うと、『河川に埋没したる物品を回収し、リサイクルする』
仕事でございます。

金ちゃん、腰まであるゴム長靴に身を包み、ぶつくさ言いながら
始めました。
そりゃもう冷たいなんてもんじゃありません。
出てくるものも、壊れた自転車やら穴の開いた土瓶やら、
金目の物は全然見つかりません。

いい加減いやんなった金ちゃん、例によってサボり始めました。
こりゃ大いに間違いでしてな、戸外の仕事ってのは動いてなきゃなんねぇ。
案の定、芯から底から冷え込んできた。
寒~い北風の吹きすさぶ中、焚き火でもしなくては凍えてしまいます。
幸い、薪は辺りにごろごろと転がっております。
ところが、火が無い。
金ちゃんは煙草を吸いませんのでな、マッチもライターも無い。
やれ困ったな、と考えこんでいるところに、こんな売り声が聞こえてきました。

「付け木は要りませんか。おじさん、付け木買ってください」