「ほんとだねぇ…なんだろ。地図みたいだけど。
茉莉さん、これ知ってた?」

茉莉は、黙りこんだまま皿を見ている。
しばらくして、その瞳から大粒の涙が溢れ出してきた。
「これ…地図だったんだ。ごめんね、父さん。
わたし、気づかなかったよ。」

あふろ君が持ってきたおしぼりを差し出す。
心配そうに覗き込む皆の視線に気づき、茉莉は
慌てておしぼりで顔を拭いた。
「あ、ごめんなさい、もう大丈夫です。
熊さん、これ、やっぱり地図です。宝の地図」

「はぁ?宝?」

茉莉の細い指先が、皿に表れた模様をたどる。
「ええ。いいですか、見てください。これが父の窯。
ここに大きな木があります。ここからが山の入り口。
ここをずっと行くと、父がわたしを連れて行った
宝の山なんです。」

店中が静まり返っている。
「今になって判ります。父はそこに行く度に、
土を持って帰ってました。
あの土こそが陶工の宝物だったんです」

十三へ