4つ目を通り過ぎ、5つ目のバス停に止まった。
健太は、ブレーキ音でようやく目を覚ました。

ぼんやりした頭が、状況を判断できない。

「あっ…!!翔太、起きろ」

寝ぼけ眼の弟を引きずるようにバスから降りた。

「あ、おい君達っ!こんな山の中で良いのかい?」

運転手の声さえ健太には聞こえない。

「あぁどうしよう、僕が寝てたせいだ、なんとかしなきゃ」
もと来た方へ戻っていく。

バスの運転手は、仕方なく出発した。
念のため、会社に連絡を入れる。


幸いにも一本道である。健太は、弟の手を引いて歩き出した。

「にぃちゃん、えんそくみたいだね」

「そうだな、がんばってあるこう」

だが、健太はともかく、幼稚園児である翔太には山道は辛い。
五分も経たないうちに、座り込んでしまう。

「翔太、立てよ、ほらがんばらなきゃ」
「おなかすいた」

「しょうがないだろ!何もないんだから…あ、ある」

健太は、母からのプレゼントは手作りのケーキだという事は知っていたが、食べるわけにはいかないと頑なに思った。


「あ、そうだ」
お弁当を残している事を思い出した。

「翔太、これ食べるか」
お弁当のふたを開けると、
『ガンバレ』の文字が目に入った。

母の声が聞こえた気がした。

七へ